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2020年3月31日 (火)

映画『子どもたちをよろしく』

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娘が小学1年生だったと思う。お友達ができて家に遊びに来るようになった。口数は少ないがちゃんと挨拶もできる良い子だけど、妻は何となく違和感を感じたという。夕方になっても家に帰りたがらない様子だったそうだ。
娘によると、その子は母子家庭で幼い弟がいて近所のアパートに住んでいる。部屋はとても散らかっていてゴミだらけ。トイレは壊れているからコンビニで済ませているらしい。夕食もちゃんと食べさせてもらっていないかもしれないという。
お母さんが許してくれるのなら、我が家で夕食を食べるかと聞いても曖昧な返事しか返ってこない。それでも一緒に食べると美味しそうに食べてくれた。でも、とても遠慮がちな様子だったそうだ。仲の良かった他のお友達のお母さんも同じようなことを言っていたらしい。
複雑な(この表現が適切とは思えないけど)家庭環境だったのだろう。育児放棄に近い状況だったのかもしれない。妻は、夕食を食べさせるのを躊躇ってしまった。毎日我が家で夕食を食べさせるわけにはいかないし、その子の母親にどう思われるのか不安だった。積極的に連絡をとらなかった。
その後数カ月でその子は引っ越したらしく学校に来なくなった。
いまでも心に引っかかっています。あの子をなんとかできなかったのか。夕食を一人分多く作るのは大した負担ではない。毎日となると大変かもしれないけれど、近所のお母さん方と協力すればその負担も軽くて済む。簡単なようで難しい。

映画『子どもたちをよろしく』は観ているのが辛くなる映画でした。前売り券を譲っていただいた高校テニス部の先輩から、暗い映画だと聞いていて覚悟はしていたのですが。
複雑な(やっぱり適切な表現ではないと思うけど)家庭にいる二人の中学生。虐める側と虐められる側。虐める方も何時虐められる側になるのか不安。DV、育児放棄、アルコール、ギャンブル依存。性風俗と偏見。
虐めるのがそんなに楽しいのか。どうしてそこで抵抗でしないのか。なんでそんなに卑屈になるのか。簡単に金貸してくれなんて言うなよ。借りた金でギャンブルなんてするなよ。とか、歯ぎしりする思いです。
何度席を立とうと思ったことか。
人間の弱さを見せつけられて腹がたち、居た堪れない気持ちにもなります。全く救いのない映画です。金払って、わざわざこんなとこまで来て、なんでこの映画を観ているのだろうとも。
それでもこの映画に描かれていることはまだマシな方だ。現実はもっと酷く痛ましい。とも思います。いじめをする中学生にリアリティがない。演技が下手っていうことでなく、多分良い子なのでいじめをす人間の狂気または無邪気さなんて演じられない。映像が綺麗すぎる。
そして救いのない結末。
これって観るべき映画だったのかと自問。

いじめられる側に一切の非がない。いじめる側を全否定しても解決しない。社会全体の問題として捉えないといけないと思うけれど難しい。

子ども食堂というのが広がってきているようです。良い取り組みだと思います。自分の選挙区での子ども食堂の広がりを自慢している馬鹿な政治家がいました。
貧困対策のための子ども食堂は本来ならない方がいい。理想的な子ども食堂は、金銭的な援助ではなく、近所の子が集まってみんなで楽しく食事ができる場所であること。地域の人々が、個々でできることを少しずつ出し合って全体で子育てができればいいと思う。ボランティアの大きな負担による施策が必要な世の中なんて自慢できるもんじゃない。片親や共稼ぎの家庭が子どもに食べさせるお金に事欠く社会はまちがっている。親の経済状況や仕事の内容に対する偏見が子どもに影響を及ぼしてはいけない。そんな世の中なのは政治家と行政の責任。
あの娘のお友達はどうしているのだろう。良い出会いがあって幸せになっていて欲しい。デリヘル嬢となり一家を支えるなんてことになってほしくないです。

娘は大学生になりました。小学生時代にはいじめられる側になりそうなこともあったけど、しっかり乗り越え、いじめる側への思いやりさえ持てたようです。今のところとても良い子に育っています。偏見のない子だと思います。思いやりもあります。ちょっと自信なさげなところもありますが、自分の考えをはっきり主張できます。
小学校でいろいろあったころはスクールカウンセラーになるとか、総理大臣になるとか言い出してびっくりしました。今ではフツーの女子大生生活をエンジョイしているようです。


まとまりのない話になりました。映画の話とは離れてしまったけど、こんなことを考えさせられたのだから、この映画を観て良かった思います。

コロナウイルスの影響で、映画を観に行きましょうとは言えない状況は残念です。
今の状況に対する今の政権と官僚の対応を見ると、この世の中いじめや偏見をなくすことはできそうもないと残念な気持ちになります。
子供たちにやってはいけないと教えるべき悪い見本を、すべてこの国のトップがやってしまっているようです。
嘘をついてはいけない。誹謗中傷をしない。相手の意見はしっかり聞く。ノートはちゃんととろうね。漢字の勉強をしよう。
今の日本のトップはそんな常識を木っ端微塵にしてしまっているような気がします。

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2020年3月27日 (金)

20008.三体

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『三体』 劉慈欣

この作品が凄いという話は聞いていたけれど手を出せずにいました。ところが、早川書房が電子書籍のバーゲンセールをしていたので思わず購入。コロナウイルスの影響もありテニスも思うように出来ないのでこの機会に話題作を読んでしまおうと。
数学は苦手です。中学では得意だと思っていました。答えが明確に出てくるから好きだと。ところが高校の数学で挫折しました。定義とか定理とか公式とか訳判んないじゃないですか。要は世の中の現象に一定の法則を見つける。その法則を使って先を予測したり、新しいものを作ったりするんですね。
人間はその昔、自然現象はすべて神的なものとして畏れ慄いていたようです。それが段々と法則を発見し、今ではすべての事象を理解し制御できると思うようになりました。しかし当然すべての事象を理解し説明できる訳ではありません。


この『三体』です。

「題名の「三体」とは、作中でも説明されているとおり、天体力学の〝三体問題〟に由来する。三つの天体がたがいに万有引力を及ぼし合いながらどのように運動するかという問題で、一般的には解けないことが証明されている」

劉 慈欣. 三体 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.6738-6740). Kindle 版. 訳者あとがきから

簡単に言うと、「太陽が三つあったらその動きは予想することは不可能」ってことらしいです。突然氷河期になったり、灼熱の地獄になったりするってことみたいです。地球人の常識からいうと人間は生きていけません。でも、太陽が三つある星に文明を持つ生物(人間みたいな)がいて、その星と地球が交流を持つというのがこの物語の基本設定です。
私にはこの基本設定さえも理解不能です。

凄い小説です。基本的な数学さえも、ましては天体物理なんて全く理解できない私みたいな者が一気読みしてしまうほど面白いのです。
墨子とか孔子とか、ニュートンやアインシュタインとか登場します。名前は知っているけどその思想や理論なんてよくわかんない。語られる科学的なことは一片も理解できない。それでも面白いのです。
専門的知識を持つ方には突っ込みどころ満載のようで、それはそれで楽しめるのではないかと思うのですが。とにかく堪能しました。

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2020年3月25日 (水)

20007.探偵コナン・ドイル

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『探偵コナン・ドイル』 ハーパー

私はとても身体の弱い子供でした。月に一度は扁桃腺を腫らし学校を休んでいました。テレビは居間にしかないし、見せてはもらえないので本を読むしかありません。小学校3年生の頃だったでしょうか、児童用の世界文学全集みたいなもの30冊を完読。本棚の中の未読本は大人向けのハードカバー。小さな活字で2段組。意を決して読み始めたら止められない止まらない。これが私のシャーロック・ホームズとの出会いで、ミステリファンへの入り口となったのです。その後、小学校の図書室にあるホームズとルパンを貪り読みました。
こんな感じで本好き、ミステリ好きになった人は沢山いるのではないでしょうか。多くの言語に翻訳され、児童や生徒向けのものが数多く出版され、映画やテレビドラマ化され、今だに数多くのパスティーシュが生みだされているシャーロック・ホームズです。

『探偵コナン・ドイル』は、ちょっと変化球のホームズ・パスティーシュ。主人公はホームズの作者コナン・ドイルです。ワトスン役です。シャーロック・ホームズ役はドイルの師であるベル博士。彼は実在の人物で、ホームズのモデルとなった方です。そして、女性ジャーナリストのマーガレット・ハークネス。この3人で、あの有名な「切り裂きジャック」と対決します。
ドイルがホームズ・シリーズの第1作から次作まで4年の間があります。「切り裂きジャック」事件はその間に起こっています。作品はフィクションですが、「切り裂きジャック」事件についてはほぼ史実に基づいていて、実在の人物が登場しています。
「切り裂きジャック」というと元祖「猟奇連続殺人」です。時代は130年前。指紋採取もなかった時代です。ロンドンの人たちは恐怖に慄きました。(現在では「クリミナル・マインド」でFBIのBAUが毎週猟奇殺人を解決していますけどね。)
ホームズでなくドイルに事件を解決させるというアイデアは素晴らしい。リアリティのあるストーリーに独自の推理と解決。人物の描写も良くて私好みの作品。大いに堪能させていただきました。

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2020年3月18日 (水)

20006.『白い悪魔』

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『白い悪魔』 スタンズベリー

最近益々「欲望」を感じなくなったように思う。元々「欲」が強いほうではないと自分では認識しているけれど。
鈍感になったとか、気力が萎えたとかではない。
庭に咲く花を見て可憐だと思うし、沈丁花の香りを運ぶ風を心地よく感じられる。
美味いものを食べたいとは思うけど、わざわざ遠くまで出かけたり、店の前で並んだりしてまで食べたいとは思わない。
テニスはもっと上手くなりたいと思うし、試合に勝ちたいとも思うけれど、勝つことだけを目指そうとは思わない。
街を歩く女性を、綺麗だとか可愛いとか思う。それだけで満足。
欲しいものがないわけではない。でも、それを手に入れるためにしなければならないことと、手に入れた後に得られるメリットを考えると、別に欲しくないわ、と思ってしまう。
人と争ってまで我を通す気はない。
好きでもない人と付き合う必要のない生活。
もしかしたら、これが幸せで充実した生活なのかもしれない。

『白い悪魔』は美しい女性の独白の物語。彼女の周りには死が付き纏う。
淡々と語られるその内容は相当ギトギトしています。
欲望のぶつかり合い。そこまでして金が欲しいのか。立場を守りたいのか。
モノクロか紗がかかった映像で綴られたようなサスペンス映画を見ているような気分でした。
春の陽がポカポカ暖かかったベランダで読了。

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2020年3月13日 (金)

デ杯、日本の敗戦とコロナウイルスの影響 テニスイベント軒並み中止

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2020年4月17日(金)から18日(土)に、ITC靱テニスセンター(大阪府大阪市西区)で開催が予定されていた2020年フェドカップ by BNPパリバ・プレーオフ「 日本 対 ウクライナ」は延期になりました。コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、すべてのプレーオフおよびファイナルを延期すると本日未明に国際テニス連盟より発表がありました。代替日程は未定です。
https://www.fedcup.com/en/news/317110.aspx

本来なら、今週行われているはずの「BNPパリバ・オ―プン」(男女共催、ATP1000、WTA Pramier Mandatory、グランドスラム大会に次ぐ格付けの大会)も代替日程未定で延期されました。
その他、ITFのトーナメントも日本では、4月中旬までの大会はすべてキャンセル。中国、イタリアの大会もキャンセルされています。

先週行われたDavis Cupのプレイオフは無観客で行われました。
ボールパーソンは手袋を着用。選手用タオルは籠に入れて直接触らずに渡していました。
関係者はすべて検温。報道受付ではメディアの皆様に検温をお願いしました。
異様な雰囲気の中行われた対戦で日本はエクアドルに完敗。ファイナル出場を逸しました。

新型コロナウイルスは日本チームにとってより大きく影響したと思います。
まずは、無観客となることでホームであることの大きなアドバンテージがなくなったこと。
そして、西岡選手が出場しなかったこと。
西岡選手は、コロナウイルスの影響により、一旦帰国するとその後のアメリカツアーのために出国、またはアメリカへの入国ができない可能性があるため一時帰国してのデ杯への出場を断念しました。
出場した添田選手、内山選手、マクラクラン選手も同じ不安を持っていたと思います。特に添田選手、内山選手は全仏前のツアーの戦績次第でその後の全英、全米へと続くグランドスラムの本戦入りが微妙となるランキングです。
一方のエクアドルチームの選手のランキングはエミリオ・ゴメス選手151位、ロベルト・キロス選手は276位とグランドスラムに届かないチャレンジャーレベル。決して恵まれたテニス環境にあるとは言えない国情でのプレーオフ進出に発奮し集中できていたのだと思います。プレッシャーもなく伸び伸びプレーしていたように見えました。試合を通して常にアグレッシブにプレーしていたようです。なんでもない球をミスすることも多いけれど、肝心なところで攻めきれていました。
一方、日本の選手は攻めきれない。内山選手も添田選手もエクアドルの選手の甘い球をウイナーを狙ってミスする。丁寧に打つと甘くなって逆襲されます。
内山選手がファイナルで負けたシングルス第2試合マッチポイント。内山選手が攻めていたのに決めきれず、パスを抜かれて負けてしまったのは、そんな展開の象徴でした。

とにかく、日本チームにとっては惨敗といえる残念な敗戦でした。
そして、もっと残念なのが新型コロナウイルスの蔓延です。
一刻も早い収束を祈るばかりです。

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