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2020年1月27日 (月)

20005.教場

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『教場』 長岡弘樹


警察学校内では盗難が多いと聞いたことがあります。まさかとは思うけど、現役の警察官が笑いながらそう言っていました。
『教場』は、警察学校で起こる事件が描かれた短編連作です。
盗難どころではない様々な事件が起こります。校内でのいじめはあって当たり前のようだし。警察官も元は普通の人だから、それが40人も集まれば嫌な奴とか、信じられない奴とかいると思います。でも、このクラス問題多すぎ。小説ですから。これくらい事件が起きないと短編連作が成り立たない。全国の警察学校で起きた事件がこのクラスに凝縮されているって感じですか。
警察学校では、警官の職務について必要なことを学ぶだけでなく、不適格者を篩にかける役割を果たしています。この小説の中では、問題を起こした不適格者はすべて退校しています。

警察学校の生徒は毎日日記を書き提出しているそうです。これがとても厳しくて、事実しか書いてはいけない。誤認した記述があったら一晩中寮の廊下で正座。文章の中に実際にはなかったこと、つまり創作した内容を混ぜた場合には退校処分だそうです。
書類は正確無比が第一。事実どおりの文章を書けない人間は、警察には必要ないとの理屈です。社会の秩序を守ることを使命とする警察官には絶対に必要なことですね。
この連作の最後に、これは重要な要素となります。

「規律を守る」ことは、「秩序を守る」側の人間にとっての基本です。上官の指示、命令を守ることは絶対ということになります。ところが、これには大きな問題が生じます。上官、上司の指示が確実に間違っている場合。または、その立場にあることがふさわしくない、人間として信用も尊敬もできない上司上官であるとき。警官や自衛官にとって自らの生死だけでなく、市井の人々の命や尊厳に関わる。

この小説の主人公である教官は、信用も尊敬もできる人のようです。杓子定規に規則を押し付けるのではなく、人としての警官がどうあるべきかを適切な方法で生徒たちを導いていると思わせます。そこがこの小説が読まれ、テレビドラマ化までされた要因でしょう。

評判が良かったので読みたいと思っていたら、Amazon Primeの読み放題の中にあったので上巻をKindleでポチりました。ところが、下巻は有料。うまいことしてやられた感じもしないでもないけど、リーズナブルな金額で堪能させていただきました。



それにしても、現在の政権と官僚たちの劣化はどうしたことか。
役人の書く文章に誤認や創作は厳禁。これは警察官だけでなく全ての公務員の基本です。
森友、加計、そして桜にしても、関わった現場の役人はきちんと記録を残しているはず。それを上司が廃棄したり改竄したり。それをやらせた者が出世したり。これでは規律も秩序も無きに等しい。しかも、出世させていると思わせる奴らは、国民に間違った規律と秩序を強制する憲法草案を作っていたりする。
政治家、官僚にはすべて警察学校同様のところで風間教官のような人の下に研修をうけてもらえれば、確実に日本は良くなると思うのだけど。違うかな。

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コメント

「これには大きな問題~指示が確実に間違っている場合」や「現在の政権と官僚たちの劣化は~」などまったくおっしゃる通りですね。最近では、その情けない状態にこちらが慣れさせられてしまっていることも深刻。いや、めげずに希望を持ち続けなくては。

投稿: 小谷けん | 2020年2月13日 (木) 19時57分

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