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2019年5月23日 (木)

19014. 『憲法についていま私が考えること』 日本ペンクラブ

『憲法についていま私が考えること』 日本ペンクラブ

 元号が「令和」になりました。その少し前に私は還暦を迎えました。
還暦について大きな感慨はありません。私にとって30歳の誕生日の方が衝撃的でした。自分が30歳を迎えられるとは思っていなかった、いや、30歳になる自分を想像できていなかったからだと思います。
歳をとるのは何となく嫌だったので30歳以降、私は歳を減らすことにしました。今年私は零歳になりました。
この30年間がちょうど「平成」に重なります。
だからといって、「平成」に何か思い入れがあるわけではありません。そして、自分が還暦になり元号が「令和」になっても、それが私に何か影響を及ぼすこともありません。「それがどうした」って感じです。

萬葉集に関連する学会を聴講したことがあります。取材の立会い。仕事でした。
発表の内容が理解できません。萬葉集に興味のない私には、枝葉末節、マニアックなお話をしているとしか感じられません。
中西進先生が同じ発表を聞かれていました。発表者に対して優しく講評されます。その鋭い突っ込みを聞いて、発表の内容がやっとわかった気がしました。優れた学者さんとはこういうことなんですね。
中西先生は、「令和」の考案者であるといわれています。ご本人は否定なさっていますが。
新元号には、その決定過程や発表後の首相談話に胡散臭さを感じていましたが、中西先生のコメントにより、許容できました。

前置きが長くなりましたが、『憲法についていま私が考えること』読了です。
中西先生は「令和」の意味について講演された中で、現代の宰相に平和憲法を尊重するよう求めたそうです。その記事中に、中西先生がこの本に寄稿しているとありました。ちょうど、憲法記念日。Kindleポチって読みました。

中西先生は、「象徴天皇は巨大な日本の良心であると心底思っている。」と、「無礼な言だが」と前置きし仰っています。僭越ながら私も同感です。そして、非礼を承知ながら申し上げると、「象徴天皇は日本人のゆとり」だとも思っています。そのゆとりを戴いていることが日本人の誇りであるとも。

象徴天皇について規定されているのが現在の日本国憲法です。
9
条には戦争放棄、戦力の不保持・交戦権の否認が規定されています。
この条文があるからこそ、日本は戦後70年間諸外国と付き合うことができたのだと思います。
その憲法を変えようとする動きがあります。

この本のタイトルは『憲法についていま私が考えること』ですが、安倍首相を代表とする自民党を中心とした改憲派の方の寄稿は一切ありません。ほとんどが9条についてその理念を変えるべきではないと考えている方の文章です。どの文章も私にとっては賛同できるもの、理論的にも、感情的にも納得できるものばかりです。

憲法は、国民が可能な限り幸せに暮らすために最低限守るべきことが書かれているものだと私は理解しています。国を運営する立場の組織、人々に対する逸脱行為を禁止するというのは近代以降の立憲主義の共通原理であり常識であると吉岡忍さんは書いています。

私は現在の安倍首相を代表とする自民党の改憲案には一切賛成できません。
国を運営する立場にある人や組織が憲法を変えるべきだと言い出すのは立憲主義の否定だと思うのです。権力者が自分たちを縛るべきものを変えようとすることには胡散臭さしか感じられません。極論かもしれませんが、日本の総理大臣に改憲を言い出す権利はないと思っています。特に今の政権には国民の総意としての改憲という考え方があるとは思えないのです。

安倍首相にお願いです。もしあなたが日本の未来のため、国民全体の幸せのためには改憲が絶対に必要だと真剣に思い、それを使命だと思っているなら。総理大臣を辞めてください。一切の公職につかないでください。そして、憲法改正の内容と理念を明確にしてマニフェストのトップに掲げ、一議員として立候補してください。自民党議員皆さんも同様にお願いします。改憲を唱える人は入閣しないでください。そうして当選したら同じ意見を持つ国民の代表として、一議員の立場で改憲の発議をお願いします。
現在の日本国憲法は、成り立ちがどうであれ(私は間違っているとは思っていません)国民の総意として存在しますが、安倍さん、あなたが総理大臣であることは国民の総意ではありません。


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