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2016年7月16日 (土)

16018. 秩序の喪失

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『秩序の喪失』 (プロジェクトシンジケート叢書) 単行本(ソフトカバー) 2015/2/10

安倍 晋三 (), ジョージ・ソロス (), ズビグニュー・ブレジンスキー (), & 5 その他

安倍首相を知るという個人的キャンペーン第二弾。大学の図書館で著者検索したらこの本がヒットしたので読んでみました。
「われわれの未来を形づくるアイデアを詰め込んだ、国際言論機関プロジェクトシンジケートの最強オピニオン集」
だそうです。寄稿している皆さんもそれぞれの分野で実績がある素晴らしい方々のようですが、無学な私には、安倍首相とゴルバチョフさん以外は知らない人ばかりです。ざっと目を通しましたが、私には難しすぎるものばかりです。ただ、皆さんが真剣に「世界社会」のことを、彼等なりに考えているということは何となくですがわかったような気がします。
日本語版だからでしょうか、トップバッターは安倍首相。さすが、日本のリーダー、他の執筆者とは一線を画す原稿です。自らの実績とこれからの日本の進むべき方向が平易な言葉で判りやすい文章で書かれています。他の執筆者は広い視野で、現状分析から予測、そして未来への提言をされているのですが、私にとっては難しすぎてよくわからない。わかるのは、こんな立派な人たちでもこの世界の政治や経済の状況は混沌としていてもはや制御不能の状態かもしれないということ。
それに比べて安倍さんの文章は判りやすい。ご自身と日本のことしか書いてないから広い視野を持つ必要がない。以下引用。

「わが国は、戦後七十年間にわたり一度たりとも、武力を背景に他国に意思を押し付けることも威嚇をすることもなく外交を進めてきました。
 この事実があるからこそ、国際社会は日本を信用してくれているのです。そして何にもまして、日本に寄せられている世界の信頼は、この国が世界の三指に入る経済大国へと大きく変貌を遂げていくなかで無数の日本人が示してきた節度や礼儀によるものであります。
 国際社会が日本に。そして日本人に寄せる信頼が、わが国の外交にとって最も価値ある資産となっています。日本国民はわが政権に対して、この伝統を引き継ぎ、少しも損ねることなく未来に継承してくことを望んでいます。」

当たり前のわかりやすい文章ですよね。でもこれが最大の謎。
この本の発行は20152月。前年に安倍政権は集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行っていた。そして、15年の5月には集団的自衛権の行使を可能にする安全保障の関連法案を閣議決定し、その後国会で与党の強行採決により成立しました。
集団的自衛権の行使を宣言するということは、他国の紛争に武力をもって介入するということ。「武力を背景に他国に意思を押し付け、威嚇することで外交を行う。」と宣言したに等しいのではないでしょうか。書いてあることと実際が違い過ぎると私は思うのです。安倍さんが自ら言っている「国民が政権に望んでいること」とは、違う方向に進んでいるように思います。

参院選が終わった現在、選挙前にはほぼ発言のなかった憲法を変えるための発議をすることを安倍さんは言い出しているようです。この本に書かれていることと、現在起こっていることの、私の感じる矛盾を説明してほしいと思うのです。残念ながら今年出版されたこの本の新版『安定とその敵』に、安倍さんは寄稿していないようです。


内容紹介
この人選から未来が見える。大物投資家ソロス氏のかけ声の元、ブレジンスキー氏、ドラギ氏、ゴルバチョフ氏、ティモシェンコ氏、グーグルのシュミット会長らが旧年を総括し、この先のトレンドを物語る(あるいは自分たち計画をほのめかす)。われわれの未来を形づくるアイデアを詰め込んだ、国際言論機関プロジェクトシンジケートの最強オピニオン集。日本からは安倍晋三首相が昨年に続いて寄稿。

PROJECT SYNDICATE
とは
チェコの首都プラハに本拠を置く国際言論組織。世界の指導者・思索家が書きおろす知的刺激にみちたオピニオンを、150カ国・480余の新聞・雑誌に配信する。購読者数は7000万に達し、世界最大の言論機関といえる。政治・経済・科学・文化をになう当事者みずからが激変する現代をするどく洞察し、確かな学識にもとづく論争が公共の場でおこなわれるという、比類なき言論空間を生みだしている。日本の報道機関では朝日新聞、読売新聞、日経新聞などが加盟している。出資者には大物投資家のジョージ・ソロス氏も名を連ねる。

著者について
安倍晋三 Shinzo Abe
日本国首相(97)1954年、東京に生まれる。77年、成蹊大学法学部政治学科卒業後、79年に神戸製鋼所入社。82年に外務大臣秘書官、93年に衆議院議員初当選。内閣官房副長官、自由民主党幹事長、内閣官房長官を歴任し、2006年に第90代内閣総理大臣に就任(07年まで在任)12年に内閣総理大臣(96)再登板。1412月、三度首班指名を受け現職。

ズビグニュー・ブレジンスキー Zbigniew Brzezinski
戦略国際問題研究所(CSIS)理事、米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院上席特任教授。1928年、ポーランドのワルシャワに生まれる。外交官の父のもと幼少期を戦間期のドイツ、ロシアで育つ。38年にカナダ移住。49年にカナダのマギル大学を卒業し、53年に米ハーバード大学で博士号。同年、同校教員となり、60年にコロンビア大学に移る(89年まで在任)66年から68年、民主党リンドン・ジョンソン政権で国務省政策企画本部スタッフ。68年の大統領選挙で民主党ヒューバート・ハンフリー陣営の外交政策を担当。73年、日米欧三極委員会の創設に関わり、76年まで同ディレクター。78年から81年、民主党ジミー・カーター政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官。81年、米中国交正常化および人権・安全保障政策への貢献で大統領自由勲章を受章。88年の大統領選挙で共和党ジョージ・ブッシュ(シニア)陣営の外交政策アドバイザーを務める。94年、CSISに助言して米国・ウクライナ諮問委員会を創設(米側からヘンリー・キッシンジャー氏、ジョージ・ソロス氏などが参加)2004年、外交問題評議会(CFR)で報告書「イラン:新アプローチの時」を発表。著書に『ひよわな花・日本』(72)、『アウト・オブ・コントロール』(93)、『ブレジンスキーの世界はこう動く』(97)、『孤独な帝国アメリカ』(04)、『Strategic Vision: America and the Crisis of Global Power(12)など。ワシントンDC在住。

単行本(ソフトカバー): 176ページ
出版社: 土曜社 (2015/2/10)
言語: 日本語
ISBN-10: 4907511159
ISBN-13: 978-4907511159
発売日: 2015/2/10
商品パッケージの寸法: 19 x 12.8 x 1.6 cm

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