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2016年4月20日 (水)

16009.メディアと自民党

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『メディアと自民党』
(角川新書) 新書 2015/10/24
西田 亮介  ()

怒涛のポケミス5冊完読の後は、未読が溜まっている津田さんのメルマガで紹介されていたこの本を図書館で借りて読むことにしました。最近のメディアのだらしなさ。最もその情けなさは今に始まったことじゃ無い気がするけど、安倍政権、自民党の圧力が強いのは事実のようで、メディア、特にテレビの情けなさが際立ってしまっているのでしょうね。30年以上メディアと付き合いのある仕事をしたけど、本当に信頼できると思えた人はほんの一握り。気骨を感じた人は数人。ほとんどはテレビ界の常識、世間では非常識に腹を立てながら仕事をしていました。テレビ局の営業担当の話題と言えば、女、酒、ゴルフ。私はどれも苦手。一緒に仕事するのは辛いですね。
 第一次安倍内閣後、野党時代の自民党の民主党に対するネガティブキャンペーンは酷かった。当時私が担当していたクライアントの担当の方が、あんな酷いこと本当に電通がやっているのか?と聞かれたことを思い出します。自民党の本質なんて相手を貶めることをよしとする、そんなもんかもしれません。それにしても酷すぎるネガティブキャンペーンがなぜ実施されたのかを知りたかったのですが、この本ではそのことはほとんど触れられていません。この酷い時期を除く前後、そして現在でも、自民党の広報戦略の重要な担い手は世耕さんであることは確かのようです。近畿大学の広報戦略も見事なものがありますよね。
広報戦略っていっても、特別なことをしているとは思えません。広報は広告と違って伝えるべきことをきちんと伝えることが全てです。表現方法に拘りすぎると本質とは違うものになってしまいます。この本の中で、自民党の広報戦略がうまくいっているとされている時期、それは広報のコンサルが入っている時期のようですが、当たり前のことをきちんとやっていたのだと思います。これはとても難しいことなのですが、うまく行き始めると簡単なことのように勘違いされて、コンサルは疎んじられ極端な成果だけを求められてしまい、悪い方向に進みます。自民党議員の「失言」の多さは広報的には最悪の状況です。彼等にとっての「失言」であって、私達からすれば、驕った政治家の「本音」です。発言の酷さに腹が立ちますが、冷静に「本音」を捉えて政治家を選別していくべきです。彼らに謝らせるのでなく、落選させればいいのです。
 広報戦略は、自らの主義主張を正しく伝え共感を得るためのものであってほしいと思っています。「嘘も方便」は許されないし、恐喝、恫喝を用いたメディアコントロールは広報ではありません。良心的学者の皆様方には、メディアが政治家よりも国民、市民の側に確固として立ち、国民、市民にはメディアの発信する情報を正しく判断できるリテラシーを醸成できる方法を追求していただきたいと希望します。

 この本の作者が本当に言いたいことは冒頭の20ページ、「はじめに」に書かれていることがすべてのようです。が、本当の本音については書ききれていないような気がします。まだ何か抑制、自己規制しているように感じられます。その項の最後は、「現代日本のメディアと政治をめぐって生じている、ときにはスリリングで、ときには惰性的で辟易とするような状況を読者が理解する一助となれば嬉しい。」と結んでいます。私にとっては、この状況を理解する一助となったとしても、この現状の救いのなさについて、焦燥感を超えた無力感に腹が立つばかりであります。


内容紹介
小選挙区制、郵政選挙以降の党内改革、ネットの普及が、メディアに対する自民党優位の状況を生み出した。「慣れ親しみの時代」から「隷従の時代」への変化を、注目の情報社会学者が端的に炙り出す。田原総一朗推薦。

著者略歴 (BOOK著者紹介情報」より)
西田/亮介
東京工業大学大学マネジメントセンター准教授。博士(政策・メディア)1983年京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。()中小機構経営支援情報センターリサーチャー、立命館大学特別招聘准教授などを経て現職。専門は情報社会論と公共政策(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報
新書: 255ページ
出版社: KADOKAWA/角川書店 (2015/10/24)
言語: 日本語
ISBN-10: 4041027470
ISBN-13: 978-4041027479
発売日: 2015/10/24
商品パッケージの寸法: 17.2 x 10.8 x 2 cm

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2016年4月18日 (月)

16008. アルファベット・ハウス

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『アルファベット・ハウス』 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 新書 2015/10/7

ユッシ・エーズラ・オールスン (), 鈴木恵 (翻訳)

「特捜部Q」シリーズでお馴染みのオールスンのノンシリーズ物です。物語の主要な舞台は、この前に読了した『人形』と同じく精神病院なのですが、こちらは第二次大戦中のドイツ。残虐の限りを尽くしたナチスドイツの人体実験を施す精神病院が「アルファベット・ハウス」。前半はほぼすべてがここでの出来事の描写なので、とにかく救いようがなく読むのが辛い。ただ、これはドキュメントではなくミステリ作品。最後には救いのある結末が待っていると信じて読み進めます。
救いの物語に転じる後半の舞台は1972年。大戦が終わって30年近く経ったとはいえ、ベルリンの壁はまだ東西ドイツを分断していて、私にとって東ドイツはまだ不気味で怖い存在の国でした。この年に開催されたミュンヘンオリンピックでは悲惨なテロが起こりました。東西冷戦にパレスチナ紛争。世界中がキナ臭い時代。そんな世の中での物語なのですが、作者もあとがきで書いているように、これは戦争小説ではありません。ミステリの形態で描かれた人間関係の亀裂の物語です。
読みにくいし、面倒くさい感じに思われる書き方をしてしまったけど、ミステリ・ファンとしては充分読み応えのある良質のエンタテイメントです。前半はさすがにちょっと苦戦したけど、後半は怒涛の一気読みです。最近こんな感じの本に当たっているかな。
この本、扉の「主な登場人物」の最後にQRコードがあって、著者の記述から読み解いた事件マップにリンクできます。グーグルマップにピンが打ってあり、ストリートビューで見ると街の雰囲気を感じることができます。ポケミスを買って読んだのですが、Kindle版だったら、別ウインドウでストリートビュー見ながら読めるのかな。読んでみたいと思った方は是非電子書籍版で。ポケミスよりも少しだけお安いですし。


内容(「
BOOK」データベースより)
英国軍パイロットのブライアンとジェイムズはドイツ上空で撃墜された。かろうじて脱出し傷病を負ったSS将校になりすますが、搬送先は精神病患者に人体実験を施す通称「アルファベット・ハウス」だった。そこに軍の財宝を着服した悪徳将校4人組が紛れ込み、虐待が横行する。ブライアンだけが命がけの脱走に成功するが、やむなく残したジェイムズのことが気がかりだった。28年後、ジェイムズを探しに訪独したブライアンは、町の名士として偽名で暮らす悪徳将校らを発見するが…。人気作家が描く友情と愛憎の物語。

著者略歴
(BOOK著者紹介情報」より)
エーズラ・オールスン,ユッシ
1950年、コペンハーゲン生まれ。デンマークを代表するミステリ作家。北欧、ヨーロッパで絶大な人気を誇る。シリーズ『特捜部Q』で、北欧最高峰の「ガラスの鍵」賞を受賞した

鈴木/
早稲田大学第一文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報
新書: 576ページ
出版社: 早川書房 (2015/10/7)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150019002
ISBN-13: 978-4150019006
発売日: 2015/10/7
商品パッケージの寸法: 18.7 x 10.5 x 2.5 cm

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2016年4月 6日 (水)

16007.人形(ひとがた)

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『人形(ひとがた) (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 新書 2016/2/9
モー・ヘイダー (), 北野寿美枝 (翻訳)

 レンデルの次はヘイダー。サスペンスの新女王だそうです。レンデルと同じく多視点で描かれているのですが、これは最初から誰に感情移入すべきかはっきり決められました。序盤からスイスイ読み進められます。いくつかの事件、巧みに張られた伏線が最後には見事に収束するのですが、キッチリ意外な結末が用意されていました。人物描写や、彼、彼女らの台詞も私好みかも。私の頭の中にイギリス郊外の風景が広がり、こちらは地図いらず。直前に読んだレンデルの『街への鍵』との比較だったらこちらの勝ち。新女王の名にふさわしい作品ですね。
 舞台はイギリス郊外にある精神病院。プロローグが強烈すぎて読むのが耐えられないかもしれないと一瞬思うも、主人公AJの登場で話が落ち着きます。
 精神病患者にも人生があり理解し共感もできるし、愛おしくもなる。でも、看護師として数十人を一度に相手してしまうと、単なる患者になってしまう。ある精神科の看護師さんの言葉です。この作品では患者さんの人生について、気持ち良い描写がされていると思います。とはいえ、精神科の看護師の仕事は大変で、AJも神経と体力をすり減らしてぎりぎりで頑張っています。読み進めるうちには、患者と健常者の境目がわからなくなってきたりするんです。ミステリ作品なのでその辺りが話の肝になったりするんですけど、謎解きの要素は充分ありながら、そこが全てではないので安心してストーリーの流れに身を任せます。
 サブストーリー的に登場する刑事がハードボイルドっぽくていい感じなのですが、本来はこの刑事がシリーズの主人公だそうです。ヘイダーは初めて読んだので知りませんでした。なんか、読まなければと思うシリーズとまた一つ遭遇してしまいました。AJと彼との共演も再度あるようです。
 サクサク読めて大いに堪能。

内容紹介
【サスペンスの新女王登場! 犯罪歴のある患者を収容するビーチウェイ重警備精神科医療施設は、不穏な空気に覆われていた。ヴィクトリア朝時代に救貧院だったここには、かつて残忍に患者を支配した寮母の亡霊が出没するという噂があった。そこへある夜、不意の停電とともに、自傷行為の絶えなかった患者が死亡したことから、施設の危うい日常は崩れ去る。患者ばかりか職員までもが亡霊の噂に怯え、何かを目撃したと言い出すものまでが現われたのだ。単なる妄想か、超常現象なのか、あるいは? 上級職員のAJは、最近退院したばかりの、ある患者が舞い戻り、事態に関与しているのではないかと疑うが、上層部を気にする院長のメアリーは対応を渋る。悩んだ末にAJは、独断で警察のキャフェリー警部に相談するが……アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)最優秀長篇賞に輝いた『喪失』に続き、サスペンスの新女王たる実力を見せつける話題作!

著者略歴 (BOOK著者紹介情報」より)
ヘイダー,モー
英国エセックス生まれ。15歳で学校を辞め、バー・メイド、警備員、英語教師などの職業を経験。東京でホステスをしていたこともある。2010年の『喪失』でアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞を受賞

北野/寿美枝
神戸市外国語大学英米学科卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

新書: 446ページ
出版社: 早川書房 (2016/2/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150019045
ISBN-13: 978-4150019044
発売日: 2016/2/9
商品パッケージの寸法: 18.4 x 10.6 x 2.6 cm

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2016年4月 1日 (金)

新年度が始まった

今日は41日。恒例の近況報告です。
大学図書館で働き始めて1年が経ちました。明日の大学入学式は、満開の桜が迎えてくれそうです。
仕事の方はノンビリさせてもらっています。3月は春休みで仕事が暇だったので週4日勤務にしていただきました。図書館の仕事は極めれば深くて難しいものだとは思いますが、閲覧サービスだけで、マネジメント業務なし、ただそこにある仕事をこなすだけだったら苦労はありません。この一年、苦労といえばカウンターで一緒に仕事する女性がなかなか個性的な性格の方だったことくらい。一時はストレスを感じましたが、そこは30年以上のブラック業界経験を活かしてなんとか乗り切ることができました。現在あるストレスといえば、毎日の献立を考えなければいけないことぐらいです。
娘は無事中学を卒業しました。まもなく始まる高校3年間は、ますます真剣に将来のことを考えて過ごすことになります。その娘が、「パパはもっと人の為になる仕事するかと思っていた。」と言うのです。図書館の仕事は充分人の為になる仕事だと思うのですが、娘にとっては物足りないみたいです。私にとっても物足りなく、ノンビリし過ぎだと思っていたのでいろいろ考えてはいたのですが。
人の為、私が役に立てることは、30年間のやくざ稼業で培った、巷に溢れる情報との正しい付き合い方を伝えること。そう思い、強力なコネを使い、しつこい売り込みをして大学の講師を務めることになりました。広告業界とマスコミの実態を語りながら、学生にはこの厄介な社会を正しく生き延びるためのメディアリテラシーを学んで欲しいと思います。まずは週一コマだけなので、ついでに夏の参院選に出馬する準備もしています。打倒、嘘つき政権。民主主義の危機から日本を救うのです。



なんてことを、考えてもみたのですが、そんな才能もなく、やる気も起こらないで、取りあえず今年度も主夫しながら図書館の仕事を続けます。ちょっと積極的に、できること着実にね。
妻も看護師2年目に突入。頑張っています。きつい仕事だし、理不尽なこともたくさんあるようですけどね
幸せなことに、彼女は私にやりたいことあれば、協力すると言ってくれています。残された人生、どうすれば人の役に立てるのかボチボチ考えていきたいと思います。

相変わらず、ややこしい性格の面倒くさい奴です。たまには人生や世の中の理不尽について激論交わしたり、愚痴言いたくなったら、是非食事にでも誘ってください。よろしくお願いします。

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