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2016年4月18日 (月)

16008. アルファベット・ハウス

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『アルファベット・ハウス』 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 新書 2015/10/7

ユッシ・エーズラ・オールスン (), 鈴木恵 (翻訳)

「特捜部Q」シリーズでお馴染みのオールスンのノンシリーズ物です。物語の主要な舞台は、この前に読了した『人形』と同じく精神病院なのですが、こちらは第二次大戦中のドイツ。残虐の限りを尽くしたナチスドイツの人体実験を施す精神病院が「アルファベット・ハウス」。前半はほぼすべてがここでの出来事の描写なので、とにかく救いようがなく読むのが辛い。ただ、これはドキュメントではなくミステリ作品。最後には救いのある結末が待っていると信じて読み進めます。
救いの物語に転じる後半の舞台は1972年。大戦が終わって30年近く経ったとはいえ、ベルリンの壁はまだ東西ドイツを分断していて、私にとって東ドイツはまだ不気味で怖い存在の国でした。この年に開催されたミュンヘンオリンピックでは悲惨なテロが起こりました。東西冷戦にパレスチナ紛争。世界中がキナ臭い時代。そんな世の中での物語なのですが、作者もあとがきで書いているように、これは戦争小説ではありません。ミステリの形態で描かれた人間関係の亀裂の物語です。
読みにくいし、面倒くさい感じに思われる書き方をしてしまったけど、ミステリ・ファンとしては充分読み応えのある良質のエンタテイメントです。前半はさすがにちょっと苦戦したけど、後半は怒涛の一気読みです。最近こんな感じの本に当たっているかな。
この本、扉の「主な登場人物」の最後にQRコードがあって、著者の記述から読み解いた事件マップにリンクできます。グーグルマップにピンが打ってあり、ストリートビューで見ると街の雰囲気を感じることができます。ポケミスを買って読んだのですが、Kindle版だったら、別ウインドウでストリートビュー見ながら読めるのかな。読んでみたいと思った方は是非電子書籍版で。ポケミスよりも少しだけお安いですし。


内容(「
BOOK」データベースより)
英国軍パイロットのブライアンとジェイムズはドイツ上空で撃墜された。かろうじて脱出し傷病を負ったSS将校になりすますが、搬送先は精神病患者に人体実験を施す通称「アルファベット・ハウス」だった。そこに軍の財宝を着服した悪徳将校4人組が紛れ込み、虐待が横行する。ブライアンだけが命がけの脱走に成功するが、やむなく残したジェイムズのことが気がかりだった。28年後、ジェイムズを探しに訪独したブライアンは、町の名士として偽名で暮らす悪徳将校らを発見するが…。人気作家が描く友情と愛憎の物語。

著者略歴
(BOOK著者紹介情報」より)
エーズラ・オールスン,ユッシ
1950年、コペンハーゲン生まれ。デンマークを代表するミステリ作家。北欧、ヨーロッパで絶大な人気を誇る。シリーズ『特捜部Q』で、北欧最高峰の「ガラスの鍵」賞を受賞した

鈴木/
早稲田大学第一文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報
新書: 576ページ
出版社: 早川書房 (2015/10/7)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150019002
ISBN-13: 978-4150019006
発売日: 2015/10/7
商品パッケージの寸法: 18.7 x 10.5 x 2.5 cm

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