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2016年3月21日 (月)

16006. 街への鍵

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『街への鍵』
(ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 単行本 2015/8/7

ルース・レンデル (), 山本やよい (翻訳)

昨年亡くなった〝サスペンスの女王“レンデル。小鷹さんに続き2冊続けて追悼読書になりました。
序盤苦戦。多視点で書かれていて、登場人物の誰にも感情移入できず辛かったです。しかもこの本には登場人物一覧がないという二重苦。やっと調子が出てきたのは中盤以降。事がいろいろ動き出して、それまでに張られていた伏線が収束してきて終盤は怒涛の一気読み。これがレンデルの魅力なのかな。
誰にも感情移入させてもらえなかったので、緊張感をもって読むことになりました。私にはとっては苦手のタイプですが、この辺りレンデルが〝サスペンスの女王“であることの所以ではないかと思います。私は当然のこととしてレンデルを過去に読んでいるつもりだったのですが、読んだとしても随分昔のことなのでしょう。全く記憶がありません。レンデルのファンは、この緊張感を楽しんでいるのでしょうか。
物語の舞台はロンドン。街の情景と登場人物の心情が丁寧に描かれています。それぞれの地域、通りがどんなところなのか、お屋敷街だったり、貧しく危険だったり、ロンドンのこと知っていればもっと楽しく読めるのにと思い、そうだグーグルマップでチェックすればいいんだと思いついたところで話がぐんぐん展開してきて、結局マップ確認せず読了。後でマップ見て、なるほどこんな感じだったのだと余韻を楽しみました。
私は想像力不足で、感受性の低いので登場人物一覧と舞台マップが必要な作品でした。グーグルのストリートビュー見ながら読んだら面白かったかも。電子書籍だったら文章にリンク貼って、シーン毎にその場所の様子を見ながら読むというのができるのかな。もしかしたらそんな作品がすでにあるのかもしれませんが、作家にとってはどうなのでしょう。書くのが難しくなるのか、作品の可能性が広がるのか。
ロンドンに行ってみたい思うほど堪能。

内容(「BOOK」データベースより)
メアリは白血病患者のために骨髄を提供した。だが、それが恋人の男の怒りをかう。彼女の美しい肌に傷がついたと、身勝手な理由で男はメアリを責め―暴力をふるった。家を出た彼女は、過去をふりきるように大胆な行動に出る。素性もよくわからぬ骨髄の提供相手に会うと決めたのだ。そこにいたのはレオという優しく繊細な男性。メアリは次第に彼に惹かれていくのだが、それが悲劇の始まりだった。その頃、街では路上生活者を狙った殺人が起き…不穏さを物語に練りに練り込んだ“サスペンスの女王”による傑作。

著者略歴 (BOOK著者紹介情報」より)
レンデル,ルース
1930
年ロンドン生まれ。英国推理作家協会(CWA)賞ゴールド・ダガーを四度受賞。“ウェクスフォード警部”シリーズや多くのサスペンスを発表し、英国ミステリ界を代表する作家として活躍。2015年逝去
山本/やよい
同志社大学文学部英文科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

単行本: 421ページ
出版社: 早川書房 (2015/8/7)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150018987
ISBN-13: 978-4150018986
発売日: 2015/8/7
商品パッケージの寸法: 18.4 x 10.6 x 1.8 cm



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2016年3月14日 (月)

16005. ジャック・リッチーのびっくりパレード

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『ジャック・リッチーのびっくりパレード』
(ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 単行本  2016/1/8
ジャック リッチー (), Jack Ritchie (原著), 小鷹 信光 (翻訳)

ポケミス最長作品の次は、これぞポケミスという短編集。昨年末に亡くなった小鷹さん最後の仕事だったらしい。ジャック・リッチーの長編は一編のみで、短編職人ともいうべき作家だったそうです。
「びっくりパレード」というだけあって、どの作品も見事なオチでびっくりの連続。短編のお手本集ともいえるアンソロジーです。スマホやインターネット携帯電話どころか、ファックスもない時代。今では当たり前のことが登場しなくても全く違和感がない。どの作品も古さを感じさせないのは、リッチーが亡くなって20年後に日本で編まれた『クライム・マシン』が『このミス』第一位になったことで証明済み。今さら私が言うまでもないですね。
事務所で働く女性が、向かいのビルで働く男性に恋をする。(なんか、似たような話を読んだことがあるような…)今ではこんなことありえないかもしれない。ネットでの出会いだとほのぼのした話にするのは難しいような気がします。昔は良かったなんて言いたくないけど、物事を知ることが現在のように簡単でなかった時代に、小鷹さんが紹介してくれる作品や、アメリカの風景は気持ちをぞくぞくさせてくれました。私の中で最高最古傑作のテレビドラマである『探偵物語』は小鷹さんの原案でした。小鷹さんが亡くなったのはとても残念ですが、残してくれた多くの作品にはこれからも楽しませてもらうつもりです。多分すべてを網羅するのは無理かもしれません。
作品のクオリティもボリュームも、これぞ『ポケミス』。大いに堪能。これ読んでいる間の通勤は楽しかったです。そして装丁がとてもお洒落。こんな本を読んでいるとカッコイイと思うのですが、まあ、そこからの出会いなんて…、ないですね。

内容紹介
これが読めるのは日本でだけ!?《このミス》第1位作家最強のオリジナル短篇集。デビュー作(きゅんとする恋のミステリ)から、遺作(亡くなる時まで執筆していたミステリ)まで全25篇収録。

内容(「BOOK」データベースより)
男がバーで「マクジョージ」と叫び客を撃つ。が、撃たれたのはマクジョージではない?これは単なる間違いか。ターンバックル刑事が迷推理を展開!(「容疑者が多すぎる」)。強盗3人が家に押し入ってきた。カード遊びに興じる犯罪者に私が仕掛けたのは…(「ようこそ我が家へ」)。男は自らを異星人と主張し、殺人光線がもう地球に届くという。が、話は予想外の話“フララリーオードル”へと広がり…(「殺人光線だぞ」)100%予想不可能なほどの“びっくり”が保証付。日本初訳25篇を集めたオリジナル短篇集。

著者略歴 (BOOK著者紹介情報」より)
リッチー,ジャック
1922
年ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ。1982年「エミリーがいない」でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀短篇賞を受賞。迷刑事ヘンリー・ターンバックルや私立探偵カーデュラなどの人気シリーズを短篇で発表。2005年に日本で編まれた『クライム・マシン』が『このミステリーがすごい!』第1位に輝く、1983年没

小鷹/信光
1936
年生、早稲田大学英文科卒、ミステリ評論家、翻訳家、作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

単行本: 337ページ
出版社: 早川書房 (2016/1/8)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150019037
ISBN-13: 978-4150019037
発売日: 2016/1/8
商品パッケージの寸法: 19 x 10.8 x 1.6 cm

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2016年3月 5日 (土)

16004.エンジェルメイカー

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『エンジェルメイカー』 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 新書 2015/6/4

ニック ハーカウェイ (), Nick Harkaway (), 黒原 敏行 (翻訳)

2
段組み728ページ。ポケミスが現在の装丁になって最長らしいです。手強かったけどたっぷり楽しませてもらいました。
読み始めた時、大学は試験期間。いつもより遅くまで開館していました。読み終わった今は春休み。図書館は開館していますが、来館者はまばらです。この時季を利用して蔵書点検をしています。書架にあるすべての蔵書のIDをスキャナーで読み込む作業は、図書館業務の中で最も肉体的に辛い作業です。私は筋肉痛にもならず、順調に作業をしました。

長いだけでなく難解な作品でした。読み始めてすぐに私好みだという予感。単純な台詞一切なし。薀蓄やダジャレ満載。すべての描写や台詞に注釈が必要だと思えるほど。実際、本文の注釈に訳者の注釈があったような…。
現代の「奇書」と言えるかもしれません。舞台は現代のロンドンだけど、話の発端は戦前に遡ります。本当に楽しみながら読むには、歴史、宗教、神話、政治、科学、技術、その他、膨大な知識が必要なのかもしれません。著者の博学をこれぞとばかりにガンガン詰め込んだようです。ネットのレビューには、

書かれていることが間違いだらけだという突っ込みもありましたが、細かいこと気にせずに面白がって読むべきですね。私のように薄学の方が楽しく読めるかも。
主人公のジョーは、大物ギャングの息子だけど堅気の時計職人。最近薄れてきている職人技への敬意が根底にあり、大量生産品が蔓延る現代へのアンチテーゼがこの作品の主題かな。金よりも人情のピカレスク総合エンタテインメント小説。読むのに苦労したけど長い間通勤時間を楽しくさせてもらいました。

内容紹介
大物ギャングの息子として生まれたジョー・スポークは、時計じかけを専門とする機械職人として静かに暮らしていた。しかし、彼が謎の機械を修理した日にすべてが変わった。客の老婦人は引退したシークレット・エージェント、謎の機械は第二次世界大戦直後に開発された最終兵器の鍵だったのだ! そしてさまざまな思惑を持つ人々がジョーの周囲で暗躍をはじめた……愛する者を悪の手から守り、世界を滅亡から救うため、ジョーは父の銃を手に立ち上がる! 笑いと切ない抒情に満ちた傑作エンターテイメント・ミステリ
解説:杉江松恋

出版社からのコメント
ウィリアム・ギブスン、パトリック・ネス、マット・ヘイグ、チャールズ・ユウなど錚々たる作家たちが絶賛したイギリスの新星によるエンターテイメント快作!

著者について

1972
年イギリス生まれ。2008年に『世界が終わってしまったあとの世界で』(ハヤカワ文庫)でデビュー。本作は2012年に発表された長篇第二作。
著者略歴 (BOOK著者紹介情報」より)
ハーカウェイ,ニック
1972
年イギリス生まれ。2008年に『世界が終わってしまったあとの世界で』(ハヤカワ文庫)でデビュー
黒原/敏行
1957
年生、東京大学法学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

新書: 728ページ
出版社: 早川書房 (2015/6/4)
言語: 日本語
ISBN-10: 4150018960
ISBN-13: 978-4150018962
発売日: 2015/6/4
商品パッケージの寸法: 18.4 x 10.8 x 3.4 cm

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