07017.マンハッタン・オプⅡ
矢作俊彦 ソフトバンク文庫
ハードボイルド短編集。舞台はマンハッタンで、主人公は名無しの探偵。
あとがきは関口苑生さん。矢作さんの「ハードボイルド」について書いてあるまじめな解説です。この文章を読むだけでこの本を買って良かったと思います。
江戸川乱歩も「ハードボイルド」の定義についてはよくわかっていなかったそうです。昭和29年の「別冊 宝石」に乱歩が「チャンドラーについて」を書いているのですが、アメリカでのチャンドラー評の紹介のみで、乱歩がどう思うのかは書いてありません。私も定義なんてどうでもいいほうですが、チャンドラーを「ハードボイルド」の正統だとすると、その文体を矢作さんはちゃんと継承していると思います。ただ、文体だけが「ハードボイルド」ではない様で、そのへんのもどかしさを矢作さんは感じ、この作品をパロディだなんて言っているのでしょう。とにかく、作者の「へそ曲がり度」が大きい事だけは感じられる作品たちです。このへそ曲がり度を楽しめる人が増えること願います。乱歩が書いて中に、「高級な人でなければチャンドラーに憑かれる心配はない」と紹介されています。今、日本に真に高級な人ってどれだけいるのだろう。
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